2026.10.16
ボイストレーニング
平井堅「even if」の歌詞を考察|ボイトレ講師が解説【熊本のボイトレ専門スタジオArtnomy】
平井堅「even if」の歌詞を、セクションごとに考察します。曲の背景と、ウィスパーボイス・エッジボイスの使い方、高音を張り上げずに歌うコツを、ボイストレーナーが解説します。
平井堅さんの「even if」は、リリースから20年以上たった今も、カラオケで歌い継がれているバラードです。歌詞を丁寧に追うと、主人公の不器用さと切なさが、細かい描写の中に隠れているのが分かります。この記事では歌詞を順に考察し、最後に、ウィスパーボイスとエッジボイス、高音を張り上げずに歌うコツをご紹介します。
「even if」の背景
2000年に発売された「even if」は、好きな人がいる女性に片思いする男性の切ない恋心を歌った曲とされています。
平井さんのライフワークである、アコースティック形式のコンセプトライブ「Ken’s Bar」のテーマソングで、1998年の第1回から「バーボンとカシスソーダ」というタイトルで披露されていました。シングル化の際にリアレンジされ、タイトルも改められています。歌詞に出てくる二つのお酒には、長い歴史があります。
さらに「half of me」は、この曲の後日談として作られた失恋ソングです。本記事では「even if」だけを扱いますが、あわせて聴くと印象が変わります。
※歌詞の意味は、作詞者が一行ずつ説明したものではありません。以下は、一つの解釈としてお読みください。
歌詞の考察
たまたま見つけたんだ”ってさっき言ったけど
ほんとはずっと前から君を連れて来たかったんだ
冒頭は、偶然を装った一言から始まります。ところが主人公は、すぐ自分でその嘘を打ち消してしまいます。本心を隠したいのに隠しきれない。最初の2行で、この人の不器用さが伝わってきます。
キャンドルが優しく揺れるこの店のカウンターで
君はうれしそうに彼にもらった指輪を眺めてる
キャンドルが揺れる、穏やかで甘い空気のカウンター。その隣で、君は「彼」にもらった指輪を嬉しそうに眺めています。同じ席にいても、君の視線の先に自分はいません。ロマンチックな情景と、残酷な事実が、同時に置かれています。
君の心に僕の雫は落ちないけど
このバーボンとカシスソーダがなくなるまでは
君は君は僕のものだよね
「雫」は、君に届かない想いの比喩と読めます。自分の想いは君の心に染み込まないと、主人公は分かっています。それでも、飲み物がなくなるまでは君は自分のものだと、自分に言い聞かせます。
独占を、期限のあるお酒に預けているところが切ないです。「君は、君は」という繰り返しにも、確かめるような響きがあります。
鍵をかけて時間を止めて
君がここから離れないように
少しだけ酔い始めてるのかな一
本当の気持ちだけど
時間を止めて、君を離さないでいたい。叶うはずのない願いを、ここでは言葉にしてしまいます。直後に、少し酔い始めているのかな、と自分の状態に触れます。酔いのせいにしなければ言えない、でも本当の気持ち。そんな揺れが、この数行に出ています。
君も少し酔った方がいい
そして僕の肩に寄りかかればいい
だけど全ての言葉をまた飲み干して
君から目をそらした
君も酔って、自分の肩に寄りかかってくれたら、という願望です。けれど主人公は、その直前で言葉を飲み干し、目をそらします。
「飲み干す」は、お酒と、言いかけた言葉の両方に掛かっているように読めます。踏み出せないまま終わる、この夜の苦さです。
「even if」を歌うポイント
この曲は、声を張って聴かせるより、語りかけるように歌うことで切なさが伝わります。鍵になるのは、次の3つです。
ウィスパーボイス
声帯の接触を弱くして、息の成分を多く混ぜた、ささやくような声です。本音がこぼれるような場面に合います。ただ、息を吹きすぎると声帯が締まりやすく、喉締めの原因になります。息を勢いよく出すのではなく、一定の量で温かい息を吐くようなイメージで歌いましょう。
エッジボイス
声帯の縁が軽く触れ合って出る、かすれたような質感の声です。フレーズの出だしや語尾に入れると、切なさが出ます。力を入れて作ろうとせず、喉に力が入らない範囲で、軽く触れるように使いましょう。
高音を張り上げない
高音で声を張り上げようとすると、喉が締まりやすくなります。特に、地声だけで張ろうとするタイプの方は要注意です。ミックスボイスで歌うのが一番良いですが、難しい場合はファルセットを使い、楽曲を壊さないようにしましょう。
まとめ
- 「even if」は、片思いする男性の切ない恋心を歌った曲です
- 偶然を装う冒頭から、言葉を飲み干す場面まで、不器用さが細部に出ています
- 歌うときは、ウィスパーとエッジで語りかけ、高音を張り上げないのがポイントです
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